2019年10月10日木曜日

リードの今昔


いつだったか ある男性さんに

リードってどこでするんですか? と聞かれ

いつものように ですよ


とお答えしたのですが



胸でリード というのは 私の好むメソットでは胸 ということです。

それで、胸でリード というのは
とっても いまどき だと思っています。



ずっと以前は 手でリード の方が一般的に
広く使われていたと思います。


私がタンゴを始めた頃は 手 が主流だったと思われますが
胸派と混在していた時代 でしたかね・・。


幸いなことに私の師匠は 胸 でリードフォロー というのを
教えてくれました。


でも、 手でリード派というのは
その頃は それで
間違いではなかったし、
その時の正解は だったのです。


そもそも、アルゼンチンタンゴの源を辿っていって
忘れてならないのが

カンジェンゲ というスタイルです。







これは、腕を思い切り高くあげたり
ぐっと縮めて下げたり、
女性の腕も男性の首へ深くまわして もたれるようにして立ち
腕の合図とともに踊りました。

男性の左腕が ひじを引いたり まわしたり 自転車こいでるみたいな動きで
女性を前後させるような感じ(笑)


でも

カンジェンゲなくして タンゴは語れません

このダンスの発祥として大事なことです。


で、
タンゴ黄金時代 第1期   第2期 と過ぎてゆくなかで
様々なスタイルの音楽が生み出され、

トロイロ・カナロ・ディサルリ・ダリエンソ
そしてプグリエーセなど

あまりにも 音楽の幅が広がりましたから

それに合わせて ダンススタイルも 人々によって
広がりがでてきましたよね。


そんな流れで

胸のリードが いまどき  と なっていったのだと思っています。

時代の流れとともに ますます人々が
音楽を大事にする傾向が強まったため と言えますね。


もっともっと 音楽に忠実に踊りたい!
もっとこのリズムをとりたい!
もっと二人で音楽を共有する一体感が欲しい!



その欲望の現れが 胸でのリードフォローによって

細かな歩幅や 抑揚  大小  タンゴの持つ不安定な美しさ

などの表現にもなっていった と思うのです。


動きでいえば
手でリード が主流だった時代は

ある意味 大雑把というか  いくつかの決まったシークエンスの
かたまりを繋いだ踊りをしていたのではないかと 推測します。


でも 本当に音楽に忠実に踊りたいという欲求がでてきたとき、
既成のシークエンスでは おさまりがつかない音 というのが
出てきてしまいます。



この音で こう動きたい という欲求

つまり  気持ちですね。 

心で思う。 

ハート。




昔から 気持ち とか ハート とかって 漫画だと
こんなふうに表現されてるじゃないですか。

ハート(気持ち)は胸にあるものです。

だから 今 この瞬間感じてる音楽を 手から伝えるより
胸から伝えた方がますます
ダイレクトだよね  と。



手の時代は リードを manejar マネハール と呼びました。

これは すなわち 操作 であり  操縦

マネハール(運転)  という概念がリードであったのに対し、



現代の人は proponer プロポネール(提案する)
という呼び方に変わってきていることが

この手から胸への時代の変遷を物語っています。


 このプロポネールとマネハールについては
 去年も書いています


例のチチョのレポートに こんなことが書いてありました。


「ファナにはもう何もリードしてないよ」 と。




私も 上級者になればなるほど

「リードはするな」  と言うようになります。


初心者さんのうちは すべてをリードしろ  と言うくせにね。



世界中で タンゴのダンスレベルは どんどん上がっていると思います。


       日本はそうでもないかもしれないけど



すると、今後 タンゴのリードフォローとは ますます 

   ただの情報だけ

つまり  あたかも何もしない   という状態になってゆくのではないかと
思うのです。
もう はたから見たら テレパシーで動いてるみたいな二人とか(笑)





いやはや

深いダンスですな。







また明日。







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