2019年2月18日月曜日

フォロワーの耳

時々レッスンの中でお話することなのですが、

「フォロワーは 自分の耳で直接音楽を聞くというより

相手の耳を通して音楽を聞くような感じ」

なんて 言ったりしています。分かりにくいですかね。


そうであって欲しい理由は2ケースあって、


1つ目は 1人で踊ってしまうケース。

音楽の好きな女性などは 特にこれにアタルことがあるのですが

自分の好きな曲のイメージが先行してしまい、組んだ瞬間から
ボルテージが上がっていたり、

「アドルノは私のミュージカリティでOK」が圏外まで
いってしまって 相手をそっちのけにし過ぎたり

これが いわゆる 1人で踊ってる状態になってしまうこと ですね。


エネルギーバランスが まったく合わない状態ですよね。

リードしづらい だろうな と思うわけです。

当然、ある程度 踊り慣れてきてる人のケース とも言えますね。




もう1つのケースは その反対で

ただ動いてるだけ(相手任せ) というもので

こっちの方が実は 圧倒的に多いだろうと思われます。


何年やってるとか 長いとか 慣れてるとか 関係なくて

怖いのが、自分で気づけないのがこのケースです。

なぜ気付けないかというと、相手のミュージカリティを自分のミュージカリティだと
思ってしまう、その境界を感覚としてつかめないからではないか
と思います。


1人で踊るダンスを想像してみてください。

ジャズダンスとか ヒップホップとか バレエとか。


覚えた通りの振りを 1から順に並べただけでは ダンスにはならないですよね?

音楽の抑揚や 間や 呼吸 強弱の表現を自分の持つ感覚で
調整することが必要です。
自分自身で。


同じ右足を横に出す動きでも

その瞬間の音楽の持つフィーリングと自分のダンス経験との
トータルコントロールで

切るような横

滑らかな横

ピタッと静止させる横

どこまでも引き上がってゆくような横

重く沈んでゆくような横


様々な横に足を出す表現の幅はあるわけです。


本当に難しいことに タンゴを2人で踊る場合、
その表現も 2人で同じ音楽を間に介在させてることで
持ち寄って  会話して  作っていることになります。

かように難しく それがゆえに ピッタリ合うと実に気持ちがよいものです。

 

男性が「横へ1歩」というリードをした時、その瞬間2人の間にある
音楽、その少し前からの流れ、それらの総合判断で

どんな横か  を女性自身が意図的に表現して
男性に知らせることは可能だし、それが一緒に踊ることだと思うのです。


先日のクラスでそんな話をチラリと出し、
だから音楽は大事だよね っちゅー話をした時

だって みんなダンサーだもの。 って思わず言ったんですけど。


そーなんですよ。

運動してるんじゃないんです。


ヒーロの形を覚えただけじゃダメ。

ヒーロの形を覚えるのは当然。

そのヒーロの形を相手のフィルターを通した音楽の中で
表現して、会話して、それでタンゴになるのです。




こんな話をするとき、私はいつも以前ここに書いた
サーフィンの話を思い出すのです。

フォロワー という役割を説明するのに、これ以上
ハマるものはない と思うのです。

よかったら 振り返って読んでみてください。

波に乗る




では、また。






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