2016年7月10日日曜日

映画「ラスト・タンゴ」




行ってきたよ。 初日に。

今日はそのレビューです。ちょい長です。



もう、すっごく良かった。
ぐぐっと何度もこみあげてきたよ。


私が初めて コペス&マリア・ニエベス を知ったのは
1995年 タンゴを始めたばかりの頃、私は見ることが出来なかった
「タンゴ・アルヘンティーノ」の舞台パンフレットを
先生に貸して頂いた時で

そこには
コペスが楽屋でメイクをしているところを鏡越しに写した写真があり、
ものすごい ドドーンと衝撃を受けたのです。

眼力! 気迫! そして色気。 それが私が初めてファン・カルロス・コペスを
知った瞬間。

男の人でこんなに色気のある人を見たのは 本当にその時が初めてで
今でも私の中で 確実に「男の色気」ナンバーワンとして 
その写真が記憶に焼き付いてます。

マリア・ニエベスは 同時に、日本公演でテレビ番組に出た時なのかな、
スピーチをされた録画などを見て
「私たちは感情を胸に秘めて踊ります」と言われたことが
すごく胸に響いたのです。
そのスピーチは
「私はタンゴとともに死にます」という言葉で締められ、

私はタンゴとともに死にます だんなて その言葉の方がよほど衝撃的なのですけども
その当時の私には
まだまだタンゴというものを理解できておらず
 (今だってまだ理解できてないけど)
少しでもタンゴという踊りを紐解いてゆくヒントを求めていたので

「私たちは感情を秘めて踊ります」という言葉に
ストンと胸に落ちる心地よさを感じたのです。

このスピーチの様子は そのままこの映画の中でもワンシーンとして
出てきます。




「私たちは感情を秘めて踊ります」・・・・

ラテンダンスというのは感情をあらわにするものと相場が決まっているというか、

どうも世の中の広告としては そうしたがってる風潮でありがちです。

タンゴは激しく情熱的 とか そーいうのですね。


どうも私はそこが引っかかり 果たしてそうだろうか 
タンゴの激しさや情熱は もっと静かなものではなかろうか と
疑問に感じていたのです。


例えばフラメンコなどが その激しい情熱を むき出しにして
胸をかきむしったり 爪を立てて 自分の太ももに突き立てるような
そんな熱情表現をしたり、狂おしい愛に燃えて眉間にしわを寄せたり、

私の中で タンゴとは そのような情熱とは真反対のところであると
当時感じていたので しかしそれをうまくまとめられずにありました。

このマリア・ニエベスの
「私たちは感情を秘めて踊ります」を聞いた時、

思い浮かべた情景が 薪能(タキギノウ)です。

日本の伝統芸能の あの 薪能です。


炎。
静寂の中で床をこするかすかな音。
無表情の能面。

だからこそ、役者・踊り手の技術が一段とあらわになり、
秘めた感情が 技術からまざまざと見せつけられ、
魂を揺さぶられるような深い感動が生じます。

今、この映画を見て、その時のマリア・ニエベスの感情などから
あらためて

  あああああああああ     としか言いようのない

なんとも言えない思いが湧き上がりました。


当時、「タンゴ・アルヘンティーノ」を録画したビデオを
何度も何度もテープが擦り切れるまで繰り返し見ました。

(そして遂に本当に擦り切れたのです。VHSの頃ですもの。悔やまれます。)



ペアを解消してしまった二人ですが、
2010年、世界選手権でゲストとして登場し 一夜限りのペア復活のダンスを
披露しました。
この会場、ブエノスアイレスのルナパークという場所は
ブエノスで最も観客動員数多い 大会場です。
それが 観客総立ちの唸るような拍手の嵐。

この時のコペスが76歳 かな? マリアは73歳。
すごいですね。

このあたり、映画の中では特に解説などないので(笑)
その時間の流れなど わからない方には ちょっと 面白くないというか
わかりづらいかもしれないな、と思いましたけど、

なので、このへんの感想は、映画のネタバレっつーか、予備知識として
とらえてご覧いただけたらいいかな、と思いますけどもね。


この映画、他の出てるキャストがまた素晴らしくてですね、

私は特に アレハンドラ・グッティという女性の大ファンでして
もう彼女の姿を見れて 大感激でした。

そして、映画「タンゴレッスン」の主役 パブロ・ベロンも出ています。

パブロ・ベロンとアレハンドラ・グッティは
マリア&コペスの壮年期役として出演しているわけですけども、

パブロ・ベロンだって
アレハンドラ・グッティだって、それはそれはもう世界的に有名人ですよ。
すごいですよ。
タンゴを世界に広めるのに、大きく貢献していますよ。
そりゃーもう。

それがですよ。自分たちだって相当すごいのに、実に謙虚に
コペス、マリアを讃え、心からの尊敬を持って接してる姿にも
本当に感激してしまいました。


音楽のほとんどはホセ・リベルテーラのものでした。
大御所バンドネオン奏者です。


私は「タンゴ・アルヘンティーノ」の時代を知ることが出来ませんでしたが
その後、世界中で大ブームとなった
「タンゴ・パッション」という舞台の世代です。

厚生年金会館だったかな、何度も何度も見に行ったものですけど、
その「タンゴ・パッション」の音楽が
ホセ・リベルテーラ率いる エステート・マショール楽団です。

というわけで、この映画、音楽も最高に素晴らしいですよ。マジで。



マリア・ニエベス 80歳。

孤独とタバコが似合うタンゴの女王。


かっこいいなー。



クンパルでこの映画のチケット
絶賛発売中! 
4週間は上映されることが決定してるらしいよ。


はっきり言って絶対見た方がいーよ。 マジで。










0 件のコメント:

コメントを投稿